日本型クアオルトにおける健康プログラムの事例と地域の事例を紹介します。
クアオルトを参考にしながら、日本型のクアオルトに適した運動は何でしょうか?
ドイツ人にとって、「散歩をすることは、息をするのと同じ」というほど、季節や天候を問わず、毎日散歩を欠かしません。
リハビリテーションにおいても、院内だけではなく、運動負荷を測定された野外を歩いてリハビリの効果を高めたり、治療に利活用したりしています。
バイエルン州のガーミッシュ・パーテンキルヒェンで始まった、心臓リハビリや高血圧の治療に活用されている「気候性地形療法」は、その代表的なものです。
反面、日本人はどうでしょうか。
健康日本21第2次にもあるように、年々歩数が減少しています。
2次交通の整備が難しい地方では、自動車が欠かせないために、なおさら歩数が減少しています。
そのため、日本型クアオルトの健康プログラムの第一歩は、生活活動を増やすという視点から、まずは楽しく歩くことから開始し、スポーツに繋げていこうという考えになって来ています。
四季のはっきりした日本は、季節の変化を楽しみながら歩くことが出来ますし、海辺の砂浜から松林、里山があり、夏の暑熱を避けられ、涼しくて快適な高度の高い山地まで、バラエティに富んでいます。
また、運動の後の疲労回復の促進やリラクゼーションとしても温泉が豊富にあり、緊張と緩和を上手に切り替えることが可能です。
日本で実施している代表的な地域は、山形県上山市で、ミュンヒェン大学がアジアで初めて気候性地形療法として認定した5箇所8コースがあり、クアオルト健康ウオーキングとしての専任ガイドが案内する毎日ウオーキングを提供しています。
これは、「いつでも、誰でも、一人でも」の合言葉に、
年末年始を除く年間360日ほど、予約なしで提供されている健康プログラムです。
上山市温泉クアオルト協議会
http://www.city.kaminoyama.yamagata.jp/site/kurort/
現在、全国31自治体において、クアオルト健康ウオーキングを導入(2024.年6月現在)、
下記の地域でも、同じような内容のクアオルト健康ウオーキングに取り組んでいます。
青森市では、青森中央学院大学、珠洲市では金沢大学医学部、由布市では大分大学医学部の先生方と連携しながら、
医科学的な検証に取り組んでいます。
温泉や温水を活用した水中運動は、温かさで痛みを緩和し、浮力により下肢や腰への負担を軽減して運動が可能なだけではなく、水圧により血液の還流が促され心臓への負担が少ない運動が可能となる利点があります。
陸上でのウオーキングを進めようとしても、下肢や腰の痛みで、野山の歩行が適しない状況の場合は、暖かい水中での筋力強化が重要な視点になります。
水中で筋力を強化し、陸上でのウオーキングに繋げられれば、歩数の増加が期待され、生活習慣病対策にもなるものです。
日本で実施している代表的な施設
由布市 クアージュゆふいん
https://www.visit-oita.jp/spots/detail/4424
日本型のクアオルトは、大分県の旧湯布院町(現由布市)から始まりました。
環境や景観を整え、たくさんの樹木を植え、生産風景とともに落ち着いて穏やかな環境を守り、全国の皆さまから高く評価されています。
この湯布院町とまちづくりで交流があった山形県上山市に、2011年温泉クアオルト研究会が組織されました。
お互いのノウハウを共有しながら日本型のクアオルトを目指すために全国大会を開催してきましたが、2014年新潟県妙高市、石川県珠洲市が新たに加盟し、日本クアオルト協議会に改組されました。
2015年度には秋田県三種町、島根県大田市が、2017年度には兵庫県多可町、2020年度には岐阜県岐阜市が加わり、現在は8自治体で構成されています。
日本型のクアオルト指標として、6領域60項目を示して、質の高い滞在型の健康保養地を目指しているところです。問い合わせ先は下記になります。